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土木資材の雑記

意外と知らない点字ブロックの話

点字ブロックの豆知識をご紹介

おそらく、歩道に設置してある点字ブロックのことを見たことがないという人はいないと思います。
しかしその点字ブロックが何のためにあるのかを皆さんはご存じでしょうか?
何気なく見てるだけで、実はその役割を知らずに生活している人も少なくありません。
知らないという人は、きっとこの記事を読んだ後、点字ブロックへの意識や考えが変わるはずです。
そういうわけで、今回は点字ブロックについての役割はもちろん、種類や特徴など少し施工者よりの話も含めてご紹介します。

点字ブロックについて

点字ブロックとは

点字ブロックは、目の不自由な方が安全に移動するために地面や床面へ設置された四角形の案内表示です。
正式名称は「視覚障がい者誘導用ブロック」といい、視覚障害のある方が安全に目的地まで行くための大事な手掛かりになっています。
タイルやシート状の製品もありますが、この記事では一般的に呼ばれている「点字ブロック」で総称します。

点字ブロックの歴史

実は点字ブロックの発祥は日本って知っていましたか?
岡山県の発明家である三宅精一氏によって1965年(昭和40年)に考案されました。そして、その当人が自宅に安全交通試験研究センターを設け、点字ブロックの普及に専念したのが始まりです。
第一号点字ブロックは、1967年3月18日に岡山で設置され、日本記念日協会より「点字ブロックの日」と認定されています。
なくてはならないほど一般化した「点字ブロック」ですが、今では約150カ国まで普及しています。
日本人である三宅精一氏の発明が、世界の人の役立っているという事は、私たちの誇りでもありますね。

三宅精一氏
「wikipedia掲載画像」

点字ブロックの種類

点字ブロックには、進行方向を示す「誘導(線状)ブロック」と危険箇所や誘導対象施設等の位置を示す「警告(点状)ブロック」の2種類があります。
使用される1枚の大きさは、30cm×30cmになっています。
最近では、2枚分が1つになった30cm×60cmという、施工しやすいシートタイプの製品も多く見かけます。

●誘導(線状)ブロック

線状ブロックは、主に誘導対象施設の方向を案内するために設けられています。ブロックの突起を足の裏や伺で確 認しながら、突起の方向に歩くことができるように線が向けられています。30cm×30cmの大きさに、線状突起の本数は4本となっています。

●警告(点状)ブロック

点状ブロックは、曲がり角や交差点など注意が必要な地点、また、誘導対象施設の到着地点などを示すために設けられています。30cm×30cmの大きさに、点状突起の数は25(5列×5列)となっています。

点字ブロックの規格

以前は統一された規格が無かった為、メーカーによって色や形状の異なった点字ブロックが出回っていました。
しかし、それでは分かりづらいため、視覚障害者から統一してほしいとの要望があり、2001年(平成13年)に、日本工業規格のJIS T9251(視覚障がい者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列に関する規定)が定められました。
それ以前に設置された点字ブロックは、少しずつ現在の規格のものに張り替えが進められています。

<線状突起の形状及びその配列>

線状突起の配列は4本を下限とし、線状突起を配列するブロック等の大きさに応じて増やす。

単位(㎜)

記号 寸法 許容値

a

17 +1.5~0

a'

a+10 +1.5~0

b

75 +1.5~0

c

5 +1~0

d

270以上 270以上

d'

d+10 d+10

※ブロック等の継ぎ目部分(突起の長手方向)における突起と突起の上辺部での間隔は、30mm以下とする。

<点状突起の形状及びその配列>

点状突起を配列するブロック等の大きさは、300mm(目地込み)四方以上で、点状突起の数は25(5×5)点を下限とし点状突起を配列するブロック等の大きさに応じて増やす。

単位(㎜)

記号 寸法 許容値

a

12 +1.5~0

a'

a+10 +1.5~0

b

55~60 +1.5~0

c

5 +1~0

※この寸法範囲でブロック等の大きさに応じて一つの寸法を設定する。

点字ブロックの色

アスファルト舗装の場合は、対比効果が発揮できる黄色を使用することが基本です。
一方で街や道路の美観を優先する場合は、歩道となじむ同系色のブロックが使われることもあります。
しかし後者の場合は、点字ブロック本来の役割を考えれば注意が必要です。
そもそも弱視者は、色(明暗のコントラスト)を識別して歩く人が多く、周りの色と見分けがつきにくいと歩きづらいという問題があります。
そこで重要なのは周囲の路面とブロックとの色彩コントラスト(輝度比)です。
道路の移動円滑化整備ガイドライン(財団法人国土技術研究センター)では、その輝度比を2.0程度確保することが望ましいとされています。

周囲と同系色の点字ブロックを使用した事例①
(輝度比が小さいため視認しづらい)

周囲と同系色の点字ブロックを使用した事例②
(輝度比が大きいため視認し易い)

点字ブロックの両脇路面を濃色で舗装した事例
(輝度比が大きいため視認し易い)

様々な点字ブロックとその特徴

溶融式タイプ(熱可塑性樹脂ねつかそせいじゅし)

<特徴>

  • 加熱した溶融型材料を専用機械を用いて路面に接着させる

<長所>

  • 1日の施工量が多く、施工が容易(約300m/日)

  • 交通開放までの時間短縮

<短所>

  • 専用機械が必要となり、その分費用も割高となる

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにする事ができない

  • 車両が載ると突起部分が潰れる

  • 他の埋込式ブロックや樹脂系の貼付式タイプに比べ耐久性が劣る

  • 狭い現場での施工に不向き

埋め込みタイプ

<特徴>

  • 舗装新設時に埋め込むか、舗装を切削して埋め込む

  • コンクリート製が主流、他セラミックや磁器タイルなど

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 剥がれる心配がない

  • 比較的丈夫で壊れにくい

  • 景観に合わせた色を選択できる

<短所>

  • グレーチングやマンホール等の上には設置できない

  • 大型車の乗り入れがある場所には不向き

  • 既設の舗装面に設置するには、コストも時間もかかる

シート式貼付けタイプ

<特徴>

  • ブチル系粘着材の裏のりで貼り付ける

  • 点字シートの材質は合成ゴムや樹脂系

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 離型紙を剥がし貼るため施工は早い

  • 短期間の用途に適している

<短所>

  • 劣化が早く、剥がれやすい

  • マスキングやプライマー処理が必要

シート式不織布貼付けタイプ

<特徴>

  • 下地塗料を塗布し、不織布付き点字シートを貼り付ける

  • 突起部分は耐久性があるABS樹脂

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 下地舗装と良くなじみ剥離しにくい

<短所>

  • 硬化時間が気温に左右されるため、熟練工を必要とする

  • マスキングやボンドのコテ塗りなど作業工程が多い

  • 容器など産業廃棄物が多く発生する

  • ハケやローラーを使用し、塗った様な仕上がり

MMA樹脂貼付けタイプ

<特徴>

  • 下地接着剤を塗布し、点字ブロックを貼り付ける

  • 点字ブロックは耐久性があるMMA樹脂

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 下地舗装と強固に接着し剥離しにくい

<短所>

  • ボンドが硬化する際に、強烈な異臭がする

  • 硬化時間が気温に左右されるため、熟練工を必要とする

  • マスキングやボンドのコテ塗りなど、作業工程が多い

  • 容器など産業廃棄物が多く発生する

まとめ

前述の通り、点字ブロックは視覚障害者の歩行に欠かせないものです。

昔から点字ブロックの上に自転車を駐輪している光景をよく目にします。
留めた本人に悪気はなくても、これは絶対にやってはいけないことです。
その存在に気づきづらい人がいること、そしてぶつかる危険があることを常に意識しておかなくてはいけません。
もし、そんな現場を目撃した場合は、少し自転車を移動してあげるなどの対応が大事です。

点字ブロックの色についても、もっと考えなければいけないと感じます。
記事内でも説明しましたが、景観デザインにこだわり過ぎれば、人の歩行を妨げる危険があります。
設計・施工関係者の方は、弱視者の方が周りの色との識別をしながら歩いてることを忘れないでほしいです。
そして、そこを意識した景観設計や施工を心がけてもらいたいと思います。

その他にも、貼付けタイプ別に色んな点字ブロックを紹介しました。
施工者の方には、ぜひブロックを選ぶ上で参考にしてもらえれば幸いです。
ただし設置に関して安全と思えない物もあるので、ガイドラインを参考にどの様に施工したら良いか、利用者の立場になって選んでください。

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