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土木資材の雑記

道路舗装のアスファルト補修

歩く時も、車を運転する時も、道路は誰もがいつも目にする身近な存在です。
そんな私たちの生活に必要不可欠な道路は、耐久性を維持するために表面が舗装されています。
その舗装には、いくつか方法がありますが、中でも日本の道路舗装で最もメジャーなのがアスファルト舗装です。
今回はそのアスファルト舗装の耐久性や劣化の原因、補修方法について詳しくご紹介します。

舗装にはどんな種類があるの?

  • アスファルト舗装
  • コンクリート舗装
  • ブロック系舗装(インターロッキング、レンガ等)

道路の舗装には、大きく材料による種類として上記の3つが挙げられます。
石材やタイルもありますが、景観に配慮するなど限られた場所で使用されています。
その中で、日本の道路で使用されているほとんどがアスファルト舗装となります。

アスファルト舗装って何?

アスファルト舗装は、車道・歩道を問わず、日本の道路における9割以上を占めています。
施工には骨材と石油アスファルトを混ぜて固めた混合物を主原料に舗装を行います。
荷重によるたわみ性が大きく、表層、基層、路盤と一体になり荷重を分散して支るため、たわみ性舗装とも呼ばれます。
年度末に道路工事が頻繁に行われる我が国では、掘ったり埋めたりを繰り返すため、初期コストを抑えられ、圧倒的に手間がかからないアスファルト舗装が普及しています。

アスファルト舗装された道路

そもそもアスファルトとは?

アスファルトには天然由来のものもありますが、国内では採取されません。
そのため日本の道路では、石油から作られた「石油アスファルト」を使用することが一般的です。
それは原油からガソリン、軽油、重油など様々なものを取り除いた残留物のことで、いわば「残り物」という表現が分かりやすいでしょう。
常温では固体、半固体、粘性の高い液体ですが、熱を加えると容易に溶解します。
私たちが普段アスファルトと呼んでいる舗装は、アスファルト混合物のことで、それらは「加熱アスファルト混合物」「常温アスファルト混合物」の2つがあります。

液体のアスファルト

加熱アスファルト混合物

加熱アスファルト混合物は、舗装の新設や打換えをする際に使用されます。
粗骨材、細骨材、フィラー、石油アスファルトなどを混合加熱し液状状態で使用します。
約110~140℃の時に、敷きならした後で締め固め、舗装表面の温度が約50℃以下になれば車両を走行させる事ができます。

●メリット

  • 舗装の中で比較的安価

  • 施工後に冷えると固まる性質を持つため、多くの道路舗装に採用されている

●デメリット

  • 注文する際の最低量が決まっていて、一般的に0.5t以上が必要

  • アスファルトプラントから加熱された状態で運ぶため、小規模だと運搬中の温度管理やプラントからの運搬費用が割高になる

加熱アスファルト混合物

常温アスファルト混合物

常温アスファルト混合物は、プラントで生産され、加熱アスファルトのデメリットを補う小規模な舗装やアスファルト舗装の補修材料として使用されます。
アスファルト混合物に、アスファルト乳剤を加えることにより、アスファルト成分を微粒子状に分散させ、粘度を低下させることで常温で施工を可能にしています。

※常温で固まる補修材のことを、常温合材と呼んだりする事がありますが異なるものです。

●メリット

  • 名前の通り常温で作業できる

●デメリット

  • 初期安定性が低い

  • 固化まで時間が数日かかる

常温アスファルト混合物

アスファルト舗装の構成

アスファルト舗装は、路床上に表層、基層、路盤(上層路盤、下層路盤)の4層で構成されており、それぞれの役割が異なります。(※各役割については、下記の表を参照)
路床は舗装を支持している地盤のうち、舗装の下面から約1mの部分のことを言います。
道路造りは路床工事からスタートしますが、主に土でできているため、しっかりと締め固めておかなめれば、舗装の品質にも影響が出てしまいます。

表層 交通荷重を分散することで、交通の安全性や快適性など、路面の機能を確保する。一番上の表層は、車両が通行するので一番丈夫な材料でできている。
※一般的にアスファルト混合物が用いられる。
基層 砕石路盤の不陸を整え、路盤への荷重を分散して伝える。
※一般的にアスファルト混合物が用いられる。
路盤 基層から路床に伝わる荷重を広く分散させる、クッションの役割がある。一般的に上層路盤と下層路盤の2層に分ける。
※砂利や建設廃材コンクリートを破砕した再生クラッシャーランを使用。

アスファルト舗装の構成図

アスファルト舗装の劣化について

アスファルト舗装の耐用年数は約10年と言われています。
ここでは劣化のメカニズムや、初期劣化時から進行が進む過程での劣化状態をまとめています。

劣化のメカニズム

アスファルト舗装において、劣化の主な原因は、熱や紫外線などの気象作用に加え、車両から受ける繰り返し荷重によるたわみや水です。
夏場など高温状態が持続すると舗装の温度は60℃以上に達します。
交通解放の目安である50℃を上回れば、アスファルトが軟化していき、その上を車両が走行することで発生した轍(わだち)や凸凹から、徐々にひび割れが生じます。
そこから水が侵入すると、ポンピング現象が起こり、アスファルト舗装の劣化が始まるというメカニズムです。

<ポンピング現象>
交通荷重がかかった際に浸透した雨水と共に路盤の細粒分が噴き出す現象

アスファルト舗装の劣化メカニズム

劣化の種類と原因

①たわみ

新しいアスファルト舗装でも水たまりをみかけることがあると思います。路盤の締め固め不足や、路面温度が上昇し軟化したアスファルトに、車両の荷重がかかる事で発生します。

②線状のひび割れ

アスファルトに荷重がかかり、最初は小さなひび割れが生じます。ここから雨水などが路盤や路床まで浸透することで、舗装が弱くなります。ひび割れの方向で原因が異なり、縦方向に割れるのは継ぎ目の接着不良が原因で、横断方向に割れるのはリフレクションクラックと呼ばれ下層にコンクリート床板を使用したり、縁の切れた部分に反応して割れが発生します。ポンピング現象が起こる事で、さらに支持力が弱くなりひび割れが進行していきます。

③亀甲状のひび割れ

交通荷重でポンピング現象が起きると、路盤の細粒分が水と一緒に噴き出すだけでなく、ひび割れが広がり路盤がさらに沈下します。そしてひび割れが線状から亀甲状へと進行していきます。他には、構造物とアスファルト舗装の段差による、通行車両の衝撃や構造物周辺の締固め不足が原因の場合、温度収縮やアスファルトの老朽化によって、亀甲状のひび割れが発生する場合などもあります。ただし後者の場合は沈下を伴うことはあまりありません。

④ポットホール

亀甲状のひび割れがさらに進行し、アスファルト部分が欠損することで、ポットホールと呼ばれる穴が空いた状態になります。アスファルト舗装のポットホールは、頻繁に車両が通行する場所では、数か月程度でできる場合もあります。

アスファルト舗装の補修方法

簡単な補修方法としては、アスファルト補修材を使用しましょう。
使用する用途や硬化時間に応じて、種類があるので適したものを選ぶ必要があります。
また、袋に入って一定期間保管もできるので、必要な時にすぐに使用できます。

全天候型アスファルト補修材 ミラクルパッチ

製品概要 砕石、珪砂、特殊バインダー、微粉末を含んだ混合物で、ポットホールやくぼみの補修に使用します。少し多めに散布し足や車で締固めるだけで補修できます。水がたまった穴にもそのまま使用出来て養生時間も不要です。
容量 20kg/10kg
施工目安 20kg:3cm×55cm×55cm
10kg:3cm×39cm×39cm
製品詳細ページ 「ミラクルパッチ」の詳細はこちら

アスファルト用セメント補修材 散水パッチ

製品概要 セメント、珪砂、混和材等の混合物で、段差すり付け補修や亀甲割れ補修に使用します。敷きならした後に散水するだけで簡単に補修できます。固まるまで、2〜3時間程度養生が必要です。
容量 10kg/4kg
施工目安 10kg:1cm×80cm×80cm (6.4ℓ)
4kg:1cm×50cm×50cm (2.5ℓ)
製品詳細ページ 「散水パッチ」の詳細はこちら

アスファルト補修材 ホソーヌール SUPER

製品概要 3袋に小分けされてるので少量でも使いやすく、補修粉体に混和液を混ぜて使用します。段差すり付け補修や亀甲割れくぼみの補修に使用し金コテで仕上げ、硬化時間は30〜45分程度と比較的早く、薄塗りでの補修ができるのが特徴です。
容量 7.2kg/3セット ※1セット:紛体2Kg / 液体400ml
施工目安 1cm×35cm×35cm/1セット
製品詳細ページ 「ホソーヌール SUPER」の詳細はこちら

アスファルト用ひび割れ補修材

製品概要 ボトル容器に入った水性エマルションパテで、ひび割れ専用の補修材です。初期のひび割れから、劣化の原因となる水を侵入させない事で、舗装の寿命を伸ばします。硬化時間は2〜4時間程度で、3mm以下のひびに直接流し込み補修します。
容量 ●単品(500g/本)
●セット(30本/箱)
製品詳細ページ 「アスファルト用ひび割れ補修材」の詳細はこちら

アスクリートキット

製品概要 MMA樹脂系の速硬性タイプで、施工後約40分(20℃)で硬化します。耐久性、接着性、施工精度、施工性に優れ、薄塗りできます。アスファルト用(AS)とコンクリート用(CO)の2種類から選べます。
容量 ●AS(アスファルト用):20kg(10L)/箱
●CO(コンクリート用):20kg(10L)/箱
製品詳細ページ 「アスクリートキット」の詳細はこちら

まとめ

日本の道路で特に利用されているアスファルト舗装ですが、ご紹介した通りデメリットな面も存在します。
また原油価格の上昇や為替の影響もあり、コストメリットも以前ほどでは無くなってきています。
もしアスファルトの劣化が始まった時は、早期に補修することが重要です。
劣化状態に応じた的確な補修方法で、アスファルト舗装の寿命を延ばすことが出来ることを覚えておきましょう。

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  • 2024.04.04
  • 17:49

意外と知らない点字ブロックの話

点字ブロックの豆知識をご紹介

おそらく、歩道に設置してある点字ブロックのことを見たことがないという人はいないと思います。
しかしその点字ブロックが何のためにあるのかを皆さんはご存じでしょうか?
何気なく見てるだけで、実はその役割を知らずに生活している人も少なくありません。
知らないという人は、きっとこの記事を読んだ後、点字ブロックへの意識や考えが変わるはずです。
そういうわけで、今回は点字ブロックについての役割はもちろん、種類や特徴など少し施工者よりの話も含めてご紹介します。

点字ブロックについて

点字ブロックとは

点字ブロックは、目の不自由な方が安全に移動するために地面や床面へ設置された四角形の案内表示です。
正式名称は「視覚障がい者誘導用ブロック」といい、視覚障害のある方が安全に目的地まで行くための大事な手掛かりになっています。
タイルやシート状の製品もありますが、この記事では一般的に呼ばれている「点字ブロック」で総称します。

点字ブロックの歴史

実は点字ブロックの発祥は日本って知っていましたか?
岡山県の発明家である三宅精一氏によって1965年(昭和40年)に考案されました。そして、その当人が自宅に安全交通試験研究センターを設け、点字ブロックの普及に専念したのが始まりです。
第一号点字ブロックは、1967年3月18日に岡山で設置され、日本記念日協会より「点字ブロックの日」と認定されています。
なくてはならないほど一般化した「点字ブロック」ですが、今では約150カ国まで普及しています。
日本人である三宅精一氏の発明が、世界の人の役立っているという事は、私たちの誇りでもありますね。

三宅精一氏
「wikipedia掲載画像」

点字ブロックの種類

点字ブロックには、進行方向を示す「誘導(線状)ブロック」と危険箇所や誘導対象施設等の位置を示す「警告(点状)ブロック」の2種類があります。
昔はコンクリート製の点字が主流で、使用される1枚の大きさは、30cm×30cmが基本となっていました。
しかし重量があるので施工が大変で、ブロック舗装以外はあまり見かけなくなりました。
最近では30cm×60cmのシートタイプを、接着施工する製品が多く使われますが、接着施工する際に大量の産廃を排出するという問題点もあります。
そこで大量のゴミを排出しない接着工法として、加熱溶融式の製品も登場し注目を浴びています。
他に、線や点状の突起を直接取り付ける鋲タイプのものや、短期間のみ使用する仮設タイプものまで種類が沢山あります。
それぞれの特徴、長所や短所があるので、この記事が参考になれば幸いです。

●誘導(線状)ブロック

線状ブロックは、主に誘導対象施設の方向を案内するために設けられています。ブロックの突起を足の裏や伺で確 認しながら、突起の方向に歩くことができるように線が向けられています。30cm×30cmの大きさに、線状突起の本数は4本となっています。

●警告(点状)ブロック

点状ブロックは、曲がり角や交差点など注意が必要な地点、また、誘導対象施設の到着地点などを示すために設けられています。30cm×30cmの大きさに、点状突起の数は25(5列×5列)となっています。

点字ブロックの規格

以前は統一された規格が無かった為、メーカーによって色や形状の異なった点字ブロックが出回っていました。
しかし、それでは分かりづらいため、視覚障害者から統一してほしいとの要望があり、2001年(平成13年)に、日本工業規格のJIS T9251(視覚障がい者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列に関する規定)が定められました。
それ以前に設置された点字ブロックは、少しずつ現在の規格のものに張り替えが進められています。

<線状突起の形状及びその配列>

線状突起の配列は4本を下限とし、線状突起を配列するブロック等の大きさに応じて増やす。

単位(㎜)

記号 寸法 許容値

a

17 +1.5~0

a'

a+10 +1.5~0

b

75 +1.5~0

c

5 +1~0

d

270以上 270以上

d'

d+10 d+10

※ブロック等の継ぎ目部分(突起の長手方向)における突起と突起の上辺部での間隔は、30mm以下とする。

<点状突起の形状及びその配列>

点状突起を配列するブロック等の大きさは、300mm(目地込み)四方以上で、点状突起の数は25(5×5)点を下限とし点状突起を配列するブロック等の大きさに応じて増やす。

単位(㎜)

記号 寸法 許容値

a

12 +1.5~0

a'

a+10 +1.5~0

b

55~60 +1.5~0

c

5 +1~0

※この寸法範囲でブロック等の大きさに応じて一つの寸法を設定する。

点字ブロックの色

アスファルト舗装の場合は、対比効果が発揮できる黄色を使用することが基本です。
一方で街や道路の美観を優先する場合は、歩道となじむ同系色のブロックが使われることもあります。
しかし後者の場合は、点字ブロック本来の役割を考えれば注意が必要です。
そもそも弱視者は、色(明暗のコントラスト)を識別して歩く人が多く、周りの色と見分けがつきにくいと歩きづらいという問題があります。
そこで重要なのは周囲の路面とブロックとの色彩コントラスト(輝度比)です。
道路の移動円滑化整備ガイドライン(財団法人国土技術研究センター)では、その輝度比を2.0程度確保することが望ましいとされています。
※ただし、建築の場合は一般的な道路とは異なり、鋲タイプの製品を使用しデザイン性に配慮する傾向があります。

周囲と同系色の点字ブロックを使用した事例①
(輝度比が小さいため視認しづらい)

周囲と同系色の点字ブロックを使用した事例②
(輝度比が大きいため視認し易い)

点字ブロックの両脇路面を濃色で舗装した事例
(輝度比が大きいため視認し易い)

様々な点字ブロックとその特徴

溶融式タイプ(熱可塑性樹脂ねつかそせいじゅし)

<特徴>

  • 加熱した溶融型材料を専用機械を用いて路面に接着させる

<長所>

  • 1日の施工量が多く、施工が容易(約300m/日)

  • 交通開放までの時間短縮

<短所>

  • 専用機械が必要となり、その分費用も割高となる

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにする事ができない

  • 車両が載ると突起部分が潰れる

  • 他の埋込式ブロックや樹脂系の貼付式タイプに比べ耐久性が劣る

  • 狭い現場での施工に不向き

埋め込みタイプ

<特徴>

  • 舗装新設時に埋め込むか、舗装を切削して埋め込む

  • コンクリート製が主流、他セラミックや磁器タイルなど

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 剥がれる心配がない

  • 比較的丈夫で壊れにくい

  • 景観に合わせた色を選択できる

<短所>

  • グレーチングやマンホール等の上には設置できない

  • 大型車の乗り入れがある場所には不向き

  • 既設の舗装面に設置するには、コストも時間もかかる

【写真引用元】
アクアスルー 透水・保水性セラミック点字タイル【297×297】 | 建資Low

対象製品はこちら

シート式貼付けタイプ

<特徴>

  • 短期間の用途に適している

  • ブチル系粘着材の裏のりで貼り付ける

<長所>

  • 離型紙を剥がし貼るため施工は早い

  • 剥がすだけで撤去も早い

<短所>

  • 端部がめくれる場合がある

  • 撤去時に粘着材が路面に残る

【写真引用元】
仮設専用点字パネル【300×300】

対象製品はこちら

シート式不織布貼付けタイプ

<特徴>

  • 下地塗料を塗布し、不織布付き点字シートを貼り付ける

  • 突起部分は耐久性があるABS樹脂

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 下地舗装と良くなじみ剥離しにくい

<短所>

  • 硬化時間が気温に左右されるため、熟練工を必要とする

  • マスキングやボンドのコテ塗りなど作業工程が多い

  • 容器など産業廃棄物が多く発生する

  • ハケやローラーを使用し、塗った様な仕上がり

MMA樹脂貼付けタイプ

<特徴>

  • 下地接着剤を塗布し、点字ブロックを貼り付ける

  • 点字ブロックは耐久性があるMMA樹脂

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 下地舗装と強固に接着し剥離しにくい

<短所>

  • ボンドが硬化する際に、強烈な異臭がする

  • 硬化時間が気温に左右されるため、熟練工を必要とする

  • マスキングやボンドのコテ塗りなど、作業工程が多い

  • 容器など産業廃棄物が多く発生する

【写真引用元】
MMA樹脂製点字タイル【300×600】 | 建資Low

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NEW シート式加熱溶融型貼付けタイプ

<特徴>

  • 溶融式接着剤を加熱し、点字シートを貼り付ける

  • 点字シートは耐久性があるMMA樹脂

<長所>

  • 突起部の高さ、形状をJIS規格通りにできる

  • 下地舗装と強固に接着し剥離しにくい

  • 硬化時間が気温に左右されない

  • 熟練工が不要で、1人でも施工可能

  • 産業廃棄物が発生しない

<短所>

  • 火器が使えない場所では使用できない(ヒートガン等を使うことで使用可能)

【写真引用元】
視覚障がい者誘導表示点字シート「あるくM2」 | 株式会社リンクジャパン

対象製品はこちら

鋲タイプ

<特徴>

  • 鋲裏のピンを舗装に直接固定

  • 主に建築周りで使用される

  • ビスを用いたウッドデッキ仕様もある

<長所>

  • 舗装のデザインを生かした設置が可能

<短所>

  • 施工に時間を要する

  • 他の工法と比べコスト高となる

【写真引用元】
視覚障害者用点字鋲【YBシリーズ】 警告用(点) | 建資Low

対象製品はこちら

仮設用マットタイプ

<特徴>

  • 1ヶ月程度の短期間の仮設用途

  • 両面テープや釘で固定

  • 点字マットとゴムマット一体型

<長所>

  • 設置と撤去が簡単

  • 繰り返し使用できる

<短所>

  • ズレたりめくれ上がる場合がある

【写真引用元】
点字マット 600×1800(ラインタイプ) | 建資Low

対象製品はこちら

まとめ

前述の通り、点字ブロックは視覚障害者の歩行に欠かせないものです。

昔から点字ブロックの上に自転車を駐輪している光景をよく目にします。
留めた本人に悪気はなくても、これは絶対にやってはいけないことです。
その存在に気づきづらい人がいること、そしてぶつかる危険があることを常に意識しておかなくてはいけません。
もし、そんな現場を目撃した場合は、少し自転車を移動してあげるなどの対応が大事です。

点字ブロックの色についても、もっと考えなければいけないと感じます。
記事内でも説明しましたが、景観デザインにこだわり過ぎれば、人の歩行を妨げる危険があります。
設計・施工関係者の方は、弱視者の方が周りの色との識別をしながら歩いてることを忘れないでほしいです。
そして、そこを意識した景観設計や施工を心がけてもらいたいと思います。

その他にも、貼付けタイプ別に色んな点字ブロックを紹介しました。
施工者の方には、ぜひブロックを選ぶ上で参考にしてもらえれば幸いです。
ただし設置に関して安全と思えない物もあるので、ガイドラインを参考にどの様に施工したら良いか、利用者の立場になって選んでください。

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  • 2024.01.30
  • 17:04

DIYで土留めを施工する方法

楽しくDIYで土留め対策

雨が降る度に、斜面や家の周りから土が流れて悩んでいませんか?
本格的な土留め対策は、素人では難しく専門的な知識が無いと危険が伴います。

ここでは機械を使わなくても、DIYで施工できる土留めをいくつかご紹介いたします。
グランドカバーを用いた簡単な方法から、少し技術や体力を必要とする施工方法まで、レベルごとに分かりやすく解説していきます。

どれも楽しみながら施工できるものばかりなので、この記事を参考にぜひチャレンジしてみてください。

土留め対策(初級編)

ここでは土留め対策として比較的簡単に施工できる4つの方法をご紹介します。

グランドカバーで土留め対策(庭等)

誰でも簡単に土の流出を抑止する方法は植物を植えることです。
例えば家の周りが土だと、雑草が生えてしまったり、泥跳ねしたりと見栄えも悪くなりますよね。
グランドカバーとは、その名の通り「地面(グランド)を覆う(カバー)」植物です。

剥き出しの土のままだと、道路や側溝に土が流れ出してしまうため、しっかりと根を張り土壌の流出を抑制するグランドカバーをうまく使いましょう。
芝、アイビー、シバザクラ、セダム、ハツユキカズラなどが代表的で、特に花が咲く植物は彩りが綺麗でおしゃれな庭づくりに最適です。

基本的に他の植物に比べ丈夫で手間がかからないのですが、繁殖力の強いものは頻繁にお手入れの必要があるので、管理しやすい自分の好みに合った植物を選び、土砂の流出対策をしましょう。

庭を芝生をで覆う事で流出対策と雑草の抑制が可能

花が咲くグランドカバーがおしゃれな園路を演出

グランドカバーで土留め対策(法面)

法面(人工的な斜面)にもグランドカバーで土の流出対策をおこなえます。
法面用として特定の種類があるわけではなく、定義も曖昧で明確な使い分けはありません。
しかし土木工事においてもよく使われており、土を流れ出さないように緑化された法面を見たことがあるのではないでしょうか?
覆ってしまう迄は、こまめに雑草を除去する必要がありますが、根がしっかり張れば土砂の侵食を防いでくれます。
ご自身の敷地にも検討されてはいかがでしょうか?

最近では、畦畔法面においても、センチピードグラス(芝) やシバザクラ、ヒメイワダレ草を導入している地域も増え、景観性も良く草刈り作業の軽減につながっているようです。
お住まいの地域によっては、使用が規制されている植物がありますので、お近くの市町村や購入される園芸店に問合せしておくと安心です。

敷地内の斜面を芝で緑化し、土砂の流出対策例

法面が緑化され、土砂の侵食を防いでいる例

<グランドカバー(法面用)の関連商品>

エッジ系で土留め対策

このタイプの土留めはガーデニングに使われる事が多く、お庭の印象を左右します。
だから流出対策にも少しこだわって、ウッドチップや砂利等でおしゃれにしたいですね。
少し土を掘る必要がありますが、土いじりが好きな方なら楽しみながら出来ると思います。
自分で作れば、完成した時の喜びも違ったものになるのでは無いでしょうか。
プラスチック製のエッジ系土留めは、たくさんお種類があるので、いくつかご紹介いたします。

エッジ材

見切り材とも呼ばれており、土留めで今注目を浴びています。
自由で綺麗な境界線をつくる事ができる新しいタイプの土留めです。

土の剥き出している部分を無くして、グランドカバーやウッドチップなどで土砂の流出対策をします。
グランドカバーをゾーン分けすることで、めりはりのあるおしゃれな庭づくりができます。
エッジの頭部が太いチューブタイプのものから、小さく見えにくいものまでありますが、太い方が流出抑止効果があるようです。

ウッドチップと芝を曲線で分けたデザインされたガーデニング

太さの異なるエッジ材による見え方のイメージ

<エッジ材の関連商品>

エッジ材(円形タイプ)

エッジ系の別の種類として円形に境界線をつくる事ができる土留めです。

円形エッジ材を規則的にレイアウト

樹木の幹下周りを植栽でアレンジ

<エッジ材(円形タイプ)の関連商品>

土のうで土留め対策

一般的な土のう袋は、ホームセンターなどで簡単に手に入れることができます。
仕上がりの見た目は工事現場みたいで、お世辞にもあまり良くありません。
土を入れるだけで、施工も自由度がたかく、積み重ねることもできるので簡単です。
安価なので、景観性を重視しないところに使用する分には良いでしょう。

注意点として、土を入れると小さい物でも1袋が約20kgあるので、すぐに破れないように丈夫で耐候性のあるものを選ぶようにしましょう。

災害時の土のう用に、プランターとして備えられた例

自由度の高い土のうを使って、側面からの土砂を防ぐ

<土のうの関連商品>

土留め対策(中級編)

ここでは土留め対策として有効な2つの方法をご紹介します。
これらは施工が少し大変なので、しっかりと手順や方法を確認してから作業をおこなってください。

擬木系で土留め対策

このタイプの土留めは、土圧がかかり少し高低差のある花壇や法面などに使用されます。
安価という理由で木材や竹などを使用すると、数年後に腐ってしまい土が流れ出すことがあるので、しっかりした材料を選ぶ必要があります。
施工が比較的簡単なプラスチック素材の土留めなら、腐らないので安心です。
木材に似せた質感で景観的にも配慮されているのが特徴です。
この中級編では、擬木系の土留めとしてよく使われる擬木丸太組木を使った施工方法をご紹介します。

擬木系丸太組木を使った施工例

丸太杭が並んだ仕上がりとなり、30cmくらいまでのあまり土圧が掛からない場所に使用されます。
曲線にしたりプランターのように囲うことも出来き、景観性を好む方に人気があります。
また、30cmを超えた製品もありますが、土を掘ったり大掛かりな工事が必要となり、慣れた方でないと、施工には少しハードルが高いかも知れません。
丸太杭タイプには、表裏がないものと裏面の部分を無くした半さいと、コンクリート基礎が不要な植込枠がついたタイロッド式半さいタイプなどがあるので、状況に応じて使い分けましょう。

●丸太組木(表裏なし)

丸太組木を使用した植樹マス

目安として300㎜の土留めをする場合、埋め込み深さを300㎜くらいを掘って基礎で固める必要があります。

●丸太組木(表裏あり/タイロッド式半さい)

タイロッド式半さいタイプ施工例(背面)

半さいタイプの一つで、植込枠がついたタイロッド式という製品です。枠の中に土や砕石を詰めて土圧に抵抗させているので、深く掘ったり基礎工事をする必要がありません。

<擬木系(丸太組木)の関連商品>

ガビオン(蛇籠)で土留め対策(庭等)

今注目のおしゃれな土留が、ガビオン(蛇籠)と呼ばれています。
荒目の金網に天然石などを詰め込んだもので、自然の風景に溶け込み、詰める石の種類や大きさによって、雰囲気が異なります。
こだわりのある個性的な空間づくりに活用できることも魅力の一つです。

工事が不要で石材を入れることで安定感が増し、土留めとして使用できます。
しかし壁のような高さのあるガビオンは、作業が大変で倒れると危ないので専門の業者に依頼しましょう。

DIYされる場合は、普通の金網だとすぐに錆びるのでステンレスかメッキされた溶接金網を入手しましょう。
また安いからといって細い金網にすると、石を入れたときに膨らみますので、φ5mm以上のものを使用してください。
石のすき間から土の流れ出すので、土留めとして使用される場合は不織布と呼ばれるシートなどを利用すると良いでしょう。

おしゃれな小物として販売されているものは、土留め用途には適してない場合があるので、しっかりとした製品を選ぶようにしましょう。

規則正しくピンコロ石を入れ、花壇として使用

石をランダムに入れ、自然な感じの法面土留め

<ガビオン(土留)の関連商品>

土留め対策(上級編)

最後にご紹介するのは本格的に土留め対策を行いたい方にお勧めの方法です。
親杭横矢板(おやぐいよこやいた)という土留め工法の一つで、一定の間隔で親杭を地中に打ち込み、親杭の間に横矢板を挿し込んでつくります。
土木現場で多く採用される工法ですが、一般的に天然木を使用している場合が多く、仮設として利用されます。
但し、天然素材の矢板だと長期間使用できませんので、目的や用途に応じて選んでください。

擬木系矢板で土留め対策

プラスチック擬木なら、腐らず長持ちし修景材としてとしても優れています。
コンクリート基礎を用いないため比較的簡単に施工できますが、40cmを超えた背の高い土留めだと杭を人力で打ち込む作業が大変になります。
1mを超える製品もありますが、杭打ち機を使用しないと太い鋼管杭を打ち込むのは無理なので、次に紹介する方法を検討されては如何でしょうか?

木目調のプラ擬木を使った土留め例

木杭が腐って土留が倒れる

<擬木系(矢板)の関連商品>

鋼管杭と矢板を使った土留め対策

鋼管杭を使った土留めは、杭をハンマーで打ち込んで組み立てます。
打ち込んだ杭に、丸太や板などを横矢板として使用することで本格的な土留めをつくることができます。

単管パイプなどを使っても良いのですが、先端が尖ったハガネ材を使用している打ち込み専用の杭であれば、アスファルトや石混じりの地盤にも施工可能です。但し、岩系の地質だと全く杭が打ち込めないので、事前に下調べしておくと良いでしょう。
また、専用の杭であればサビにも強く丈夫で繰り返し使用することが出来るのも魅力です。

杭と板材等での施工例

写真のように、杭のみを購入して丸太や板材などと組み合わせ仮設用途として使用されるケースが一般的なようです。

横矢板に丸太を使用。

横矢板に板材を使用。

<鋼管杭(杭のみ)の関連商品>

杭と鋼板矢板での施工例

写真のように、打ち込んだ杭に鋼板矢板を通すだけというシンプルな構造で、専用支柱は土が入らないように先端を潰しているので打ち込み易くなっており、人力だけで約1.2mくらい迄の土留を作ることができます。
防錆対策としてメッキ鋼板に塗装が施してあり、耐久年数も約20年あるので安心です。

鋼板は曲げられるので、湾曲した場所でも使用でき、地形にそったカーブ等にも問題なく使用できます。

3枚まで重ね継ぎができ、約1.2mくらい迄の土留を作ることができます。

<鋼管杭(杭と鋼板矢板)の関連商品>

まとめ

ここではDIYで土留めを施工できる方法を初級編から上級編にランク分けしてご紹介しました。
本来、土が崩落するのを防ぐ土留めですが、前述したようにDIY土留めとして土の流れ出しを防止することにも使われます。
また使い方次第では、とてもおしゃれな雰囲気にもなりますので楽しみながら色々とチャレンジしてみてください。

初級編で紹介した方法以外は土圧がかかりますので、最初から無理をせず、ガーデニングや土の流れ出しを防止する程度から始めましょう。
上級編で紹介した方法も、DIY好きで体力に自信のある方ならきっと出来ると思います。

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  • 2022.12.05
  • 15:49

土木工事用不織布について

土木工事用不織布の歴史

最近は新型コロナウイルスの影響もあり、不織布マスクがとても活躍していますが、土木工事に使われているのをご存知でしょうか?
不織布の無かった昔の土木工事は、植物を土の中に入れて強度を上げたり、木の枝を組んで河川の侵食を防ぐ材料とし使われていました。
その後、石油材料の出現によって、信頼性が高く、汎用的に使用できる不織布が誕生しました。

不織布には透水性、フィルター性に優れた特性があり、今では土木工事をする上でとても重要な資材となっています。
一方で、各メーカにより素材や厚み繊維の種類が多くて分かりにくいため、用途別に分けて解説していきたいと思います。

土木工事用不織布とは

土木用不織布の主な用途として、分離・緩衝・保護・排水・補強を目的に使用されます。
河川や港湾護岸の吸出し防止工、洗掘防止工、盛土の層厚管理、ドレーン層材、透水シート、各種セパレーター等、必要とされる機能や目的によってたくさんの種類があります。

複合的な性能を有したものや、ポリエステル合成繊維で覆った遮光性がある特殊なシート、ヤシ繊維を使い環境に配慮したシートなど、メーカによって特性の違う製品が多く開発されています。
コストメリットが高く強度のある長繊維不織布が主流ですが、単繊維不織布にしかできない特性もあり使用目的によって使い分けがされています。

素材について

特殊な用途を除き、代表的な素材は概ね4種類です。

  • ポリエステル系短繊維不織布

    耐熱性・透水性に優れ腐食しないなどの特徴があります。長繊維と比べると強度は劣るが、厚みを必要とする用途に使用される。

  • ポリエステル系長繊維不織布

    単一素材の繊維がつながっているので、厚みが薄く短繊維より強度がありコストメリットが高い。厚みがある製品は短繊維に優位性があり、複合品の不織布はできない。

  • ヤシ繊維短繊維不織布

    繊維が太く丈夫で、供給量が多いことから、ココヤシの繊維が主に使用されています。ヤシ繊維をニードルパンチで樹脂でシート化し、比較的安価で環境にやさしい素材。

  • 合成繊維短繊維不織布

    ポリプロピレン、ポリエステルや裁断くずをリサイクルしたポリエステル綿などの短繊維を合成し複合的な性能を有した不織布。

長繊維(スパンボンド)不織布とは

溶融し繋がった長い糸をシート状に結合させる製法を長繊維(スパンボンド)と言います。短繊維より強度がありコストメリットが高いなどの特徴があります。

短繊維(ニードルパンチ)不織布とは

短いくて細い繊維を乗せて多数の針(ニードル)で刺して(パンチ)繊維をからませて作る製法を短繊維(ニードルパンチ)と言います。多素材の単繊維と合成したり、厚みや重量など細かく調整された製品化が可能です。

主な用途

不織布シートの主な用途は、種類が豊富で優れた透水機能をもち土砂を通しません。
また、厚みのあるものはクッション性もあります。
分離・緩衝・保護・排水・補強とさまざまな用途で使用されています。

吸出し防止

主に護岸の背面の土砂の流出を防止するために設置されるものであり、主に不織布等を材料としています。
河川護岸の場合は、流水作用により護岸裏の土砂が吸出しを受けると、空洞が発生し崩落してしまいます。
厚さ10mm以上、開孔径0.2mm以下、引っ張り強度9.8kN/㎡以上と規格値が定められています。

防波護岸の場合は、防砂布(防砂シート)と呼ばれ裏込石上に敷設され土砂の侵入を防ぐために用いられます。
厚さ4.2mm以上、引っ張り強度880N/5cm以上、伸び60パーセント以上質量500g/㎡という最低規格が定められています。

一部を除き、吸出し防止シートを使用した工法の殆どは明確な基準がありません。
使用目的により過去の実績や経験値で使用されています。

<吸出し防止用の不織布関連商品>

洗掘防止

洗掘(せんくつ)とは、水の流れや波の影響により河岸・河床(海岸・海底)の土砂が洗い流されることを意味します。
基礎や構造物周辺に空洞が発生するのを防ぎ、沈下や陥没、倒壊などの被害を防止します。

<洗掘防止例>

捨石:適当な大きさの石を水中に沈める。
沈床(ちんしょう):玉石や、石を砕いた割栗石を詰めた格子枠を、河床に沈める。
洗掘防止工:帆布やコンクリートブロック、ゴムやアスファルトのマットなどを積み上げる。

シートによる洗掘防止は、主に港湾構造物の下部に使用されます。

<洗掘防止用の不織布関連商品>

遮水シート保護

遮水シートを施工する時に鋭利な突起物で損傷を受ける可能性があります。
遮水シートに、土圧あるいは水圧が作用すると、シートに応力が集中し刃物で物を切るときのように破れが生じ水漏れが生じます。
遮水シートとの間に保護マットが存在すると、繊維が突起角を包み込み遮水シートの破損を防ぐことができます。

路床路盤の分離(セパレーター)

路床(原地盤)は主に土で出来ていて地盤の強度に大きく影響します。
路盤は路床の上に設けられ、表層および基層に均一な支持基盤を与えるとともに、上層から伝えられた荷重を分散して路床に伝える役割を果たす層のことです。
フィルター性(分離効果)により、路盤材と軟弱路床土との混入を防ぎ、舗装支持力を確保します。

<路床路盤の分離(セパレーター)用の不織布関連商品>

インターロッキングの不陸防止

インターロッキング舗装は、サンドクッションの敷きならしで砂目地工法によることが一般的です。
この工法は、置き敷き工法のため、施工が容易で工期の短縮が図られます。
透水性の高い舗装材を使用した時は、路盤層への砂の流入を防止透水シートを敷くと、サンドクッション層からの路盤層への砂の流入がなくなり、ガタつきを抑え安定した舗装面をつくります。

不織布シートがある場合

不織布シートがない場合

<インターロッキングの不陸防止用の不織布関連商品>

水平排水

含水比の高い土で構築すると、間隙水圧が上昇し法面のはらみ出しが生じることがあるので、透水性の良い材料で水平排水層を敷設し、間隙水圧を低下させて盛土の安定を高めます。
地下水位の高い箇所に盛土を構築する場合、特に雨水や浸透水の影響が大きいと想定される盛土では設置する必要があります。
不織布に中空チューブを挿入し通水効果を高めた製品などもあります。

<水平排水用の不織布関連商品>

トラフィカビリティの確保

トラフィカビリティとは、建設機械等が走行に耐えうるかを表す地盤の能力のことを言いいます。
仮設道であれば敷砂利や敷鉄板などで進入路をつくります。
建設機械の作業性を改善させるため、シートを敷設した地盤に盛土することで、表層支持力補強させ軟弱地盤への沈み込みを低減させます。

以前は、不織布をハト目や縫製で繋ぎ合わせ、トラフィカビリティを確保してましたが、最近では、薄くて引っ張り強さのある織布を用いるケースが主流となっています。

不織布シートがある場合

不織布シートがある場合

<トラフィカビリティの確保用の不織布関連商品>

層厚管理

盛土材料を変えて構築するサンドイッチ工法や、適切な層厚状況を外方より確認するためなどに用いられます。
また盛土同士が混入しないので、全体を均質かつ十分に締固めるなどの効果もあります。

<層厚管理用の不織布関連商品>

圧密促進、不等沈下対策

不等沈下は土質性状の異なった地盤上に、構造物や新規盛土を設置した場合に起きる沈下現象です。
盛土の締固めが不十分であったり、地盤の厚さが不均一であることなどに起因します。
不織布を使った対策は、主に大規模造成や盛土などで使用され、圧密促進を図って事前に軟弱地盤の沈下を促進させます。
また、シートを敷く事で、部分的にかかる荷重を平均化させる効果があります。

<圧密促進、不等沈下対策用の不織布関連商品>

暗渠フィルター

暗渠とは地下に埋設した水路のことで、穴の空いた管などを埋めて地下停留水を排水する仕組みのことです。
古くは竹なども使用されていましたが、水はけの良い土壌に改善するため使用されます。
暗渠パイプの吸水孔に土砂が詰まると効果が落ちるため、不織布を暗渠パイプや砕石の周囲に巻くことで、フィルターの役割を果たし、目合いより大きな土砂が侵入しなくなります。

<暗渠フィルター用の不織布関連商品>

まとめ

土木工事用不織布とは何かという基本的なことも含めて、代表的な使用例もいくつか紹介させていただきました。
想像よりも使い道が多いことに、驚かれたのではないでしょうか。

種類が豊富で使いやすく性能がいいことから、土木工事に不織布は幅広く使用されています。
ご紹介した用途以外にも、使用方法は沢山ありますが、また随時紹介していければと思います。

この記事が土木資材選びをはじめ、土木工事をする皆様のお役に立てば幸いです。

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