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土木資材の雑記

道路舗装のアスファルト補修

歩く時も、車を運転する時も、道路は誰もがいつも目にする身近な存在です。
そんな私たちの生活に必要不可欠な道路は、耐久性を維持するために表面が舗装されています。
その舗装には、いくつか方法がありますが、中でも日本の道路舗装で最もメジャーなのがアスファルト舗装です。
今回はそのアスファルト舗装の耐久性や劣化の原因、補修方法について詳しくご紹介します。

舗装にはどんな種類があるの?

  • アスファルト舗装
  • コンクリート舗装
  • ブロック系舗装(インターロッキング、レンガ等)

道路の舗装には、大きく材料による種類として上記の3つが挙げられます。
石材やタイルもありますが、景観に配慮するなど限られた場所で使用されています。
その中で、日本の道路で使用されているほとんどがアスファルト舗装となります。

アスファルト舗装って何?

アスファルト舗装は、車道・歩道を問わず、日本の道路における9割以上を占めています。
施工には骨材と石油アスファルトを混ぜて固めた混合物を主原料に舗装を行います。
荷重によるたわみ性が大きく、表層、基層、路盤と一体になり荷重を分散して支るため、たわみ性舗装とも呼ばれます。
年度末に道路工事が頻繁に行われる我が国では、掘ったり埋めたりを繰り返すため、初期コストを抑えられ、圧倒的に手間がかからないアスファルト舗装が普及しています。

アスファルト舗装された道路

そもそもアスファルトとは?

アスファルトには天然由来のものもありますが、国内では採取されません。
そのため日本の道路では、石油から作られた「石油アスファルト」を使用することが一般的です。
それは原油からガソリン、軽油、重油など様々なものを取り除いた残留物のことで、いわば「残り物」という表現が分かりやすいでしょう。
常温では固体、半固体、粘性の高い液体ですが、熱を加えると容易に溶解します。
私たちが普段アスファルトと呼んでいる舗装は、アスファルト混合物のことで、それらは「加熱アスファルト混合物」「常温アスファルト混合物」の2つがあります。

液体のアスファルト

加熱アスファルト混合物

加熱アスファルト混合物は、舗装の新設や打換えをする際に使用されます。
粗骨材、細骨材、フィラー、石油アスファルトなどを混合加熱し液状状態で使用します。
約110~140℃の時に、敷きならした後で締め固め、舗装表面の温度が約50℃以下になれば車両を走行させる事ができます。

●メリット

  • 舗装の中で比較的安価

  • 施工後に冷えると固まる性質を持つため、多くの道路舗装に採用されている

●デメリット

  • 注文する際の最低量が決まっていて、一般的に0.5t以上が必要

  • アスファルトプラントから加熱された状態で運ぶため、小規模だと運搬中の温度管理やプラントからの運搬費用が割高になる

加熱アスファルト混合物

常温アスファルト混合物

常温アスファルト混合物は、プラントで生産され、加熱アスファルトのデメリットを補う小規模な舗装やアスファルト舗装の補修材料として使用されます。
アスファルト混合物に、アスファルト乳剤を加えることにより、アスファルト成分を微粒子状に分散させ、粘度を低下させることで常温で施工を可能にしています。

※常温で固まる補修材のことを、常温合材と呼んだりする事がありますが異なるものです。

●メリット

  • 名前の通り常温で作業できる

●デメリット

  • 初期安定性が低い

  • 固化まで時間が数日かかる

常温アスファルト混合物

アスファルト舗装の構成

アスファルト舗装は、路床上に表層、基層、路盤(上層路盤、下層路盤)の4層で構成されており、それぞれの役割が異なります。(※各役割については、下記の表を参照)
路床は舗装を支持している地盤のうち、舗装の下面から約1mの部分のことを言います。
道路造りは路床工事からスタートしますが、主に土でできているため、しっかりと締め固めておかなめれば、舗装の品質にも影響が出てしまいます。

表層 交通荷重を分散することで、交通の安全性や快適性など、路面の機能を確保する。一番上の表層は、車両が通行するので一番丈夫な材料でできている。
※一般的にアスファルト混合物が用いられる。
基層 砕石路盤の不陸を整え、路盤への荷重を分散して伝える。
※一般的にアスファルト混合物が用いられる。
路盤 基層から路床に伝わる荷重を広く分散させる、クッションの役割がある。一般的に上層路盤と下層路盤の2層に分ける。
※砂利や建設廃材コンクリートを破砕した再生クラッシャーランを使用。

アスファルト舗装の構成図

アスファルト舗装の劣化について

アスファルト舗装の耐用年数は約10年と言われています。
ここでは劣化のメカニズムや、初期劣化時から進行が進む過程での劣化状態をまとめています。

劣化のメカニズム

アスファルト舗装において、劣化の主な原因は、熱や紫外線などの気象作用に加え、車両から受ける繰り返し荷重によるたわみや水です。
夏場など高温状態が持続すると舗装の温度は60℃以上に達します。
交通解放の目安である50℃を上回れば、アスファルトが軟化していき、その上を車両が走行することで発生した轍(わだち)や凸凹から、徐々にひび割れが生じます。
そこから水が侵入すると、ポンピング現象が起こり、アスファルト舗装の劣化が始まるというメカニズムです。

<ポンピング現象>
交通荷重がかかった際に浸透した雨水と共に路盤の細粒分が噴き出す現象

アスファルト舗装の劣化メカニズム

劣化の種類と原因

①たわみ

新しいアスファルト舗装でも水たまりをみかけることがあると思います。路盤の締め固め不足や、路面温度が上昇し軟化したアスファルトに、車両の荷重がかかる事で発生します。

②線状のひび割れ

アスファルトに荷重がかかり、最初は小さなひび割れが生じます。ここから雨水などが路盤や路床まで浸透することで、舗装が弱くなります。ひび割れの方向で原因が異なり、縦方向に割れるのは継ぎ目の接着不良が原因で、横断方向に割れるのはリフレクションクラックと呼ばれ下層にコンクリート床板を使用したり、縁の切れた部分に反応して割れが発生します。ポンピング現象が起こる事で、さらに支持力が弱くなりひび割れが進行していきます。

③亀甲状のひび割れ

交通荷重でポンピング現象が起きると、路盤の細粒分が水と一緒に噴き出すだけでなく、ひび割れが広がり路盤がさらに沈下します。そしてひび割れが線状から亀甲状へと進行していきます。他には、構造物とアスファルト舗装の段差による、通行車両の衝撃や構造物周辺の締固め不足が原因の場合、温度収縮やアスファルトの老朽化によって、亀甲状のひび割れが発生する場合などもあります。ただし後者の場合は沈下を伴うことはあまりありません。

④ポットホール

亀甲状のひび割れがさらに進行し、アスファルト部分が欠損することで、ポットホールと呼ばれる穴が空いた状態になります。アスファルト舗装のポットホールは、頻繁に車両が通行する場所では、数か月程度でできる場合もあります。

アスファルト舗装の補修方法

簡単な補修方法としては、アスファルト補修材を使用しましょう。
使用する用途や硬化時間に応じて、種類があるので適したものを選ぶ必要があります。
また、袋に入って一定期間保管もできるので、必要な時にすぐに使用できます。

全天候型アスファルト補修材 ミラクルパッチ

製品概要 砕石、珪砂、特殊バインダー、微粉末を含んだ混合物で、ポットホールやくぼみの補修に使用します。少し多めに散布し足や車で締固めるだけで補修できます。水がたまった穴にもそのまま使用出来て養生時間も不要です。
容量 20kg/10kg
施工目安 20kg:3cm×55cm×55cm
10kg:3cm×39cm×39cm
製品詳細ページ 「ミラクルパッチ」の詳細はこちら

アスファルト用セメント補修材 散水パッチ

製品概要 セメント、珪砂、混和材等の混合物で、段差すり付け補修や亀甲割れ補修に使用します。敷きならした後に散水するだけで簡単に補修できます。固まるまで、2〜3時間程度養生が必要です。
容量 10kg/4kg
施工目安 10kg:1cm×80cm×80cm (6.4ℓ)
4kg:1cm×50cm×50cm (2.5ℓ)
製品詳細ページ 「散水パッチ」の詳細はこちら

アスファルト補修材 ホソーヌール SUPER

製品概要 3袋に小分けされてるので少量でも使いやすく、補修粉体に混和液を混ぜて使用します。段差すり付け補修や亀甲割れくぼみの補修に使用し金コテで仕上げ、硬化時間は30〜45分程度と比較的早く、薄塗りでの補修ができるのが特徴です。
容量 7.2kg/3セット ※1セット:紛体2Kg / 液体400ml
施工目安 1cm×35cm×35cm/1セット
製品詳細ページ 「ホソーヌール SUPER」の詳細はこちら

アスファルト用ひび割れ補修材

製品概要 ボトル容器に入った水性エマルションパテで、ひび割れ専用の補修材です。初期のひび割れから、劣化の原因となる水を侵入させない事で、舗装の寿命を伸ばします。硬化時間は2〜4時間程度で、3mm以下のひびに直接流し込み補修します。
容量 ●単品(500g/本)
●セット(30本/箱)
製品詳細ページ 「アスファルト用ひび割れ補修材」の詳細はこちら

アスクリートキット

製品概要 MMA樹脂系の速硬性タイプで、施工後約40分(20℃)で硬化します。耐久性、接着性、施工精度、施工性に優れ、薄塗りできます。アスファルト用(AS)とコンクリート用(CO)の2種類から選べます。
容量 ●AS(アスファルト用):20kg(10L)/箱
●CO(コンクリート用):20kg(10L)/箱
製品詳細ページ 「アスクリートキット」の詳細はこちら

まとめ

日本の道路で特に利用されているアスファルト舗装ですが、ご紹介した通りデメリットな面も存在します。
また原油価格の上昇や為替の影響もあり、コストメリットも以前ほどでは無くなってきています。
もしアスファルトの劣化が始まった時は、早期に補修することが重要です。
劣化状態に応じた的確な補修方法で、アスファルト舗装の寿命を延ばすことが出来ることを覚えておきましょう。

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